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アップライトピアノとグランドピアノの違い② 鍵盤タッチの違い

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アップライトピアノとグランドピアノの違い② 鍵盤タッチの違い

アップライトピアノとグランドピアノの違い② 鍵盤タッチの違い

アップライトピアノ・グランドピアノは鍵盤を押してハンマーを打ち付ける仕組みも異なります。
前回の記事「アップライトピアノとグランドピアノの違い① 音の響き」 でもお伝えした通り、内部機構が垂直に広がっているのがアップライトピアノ。
いっぽうで内部機構が水平に広がっているのがグランドピアノです。
弦が張られている方向が異なるので、ハンマーが打鍵する仕組みも変わってきます。
内部機構の違いが、鍵盤タッチの違いとして表れてくるのです。
この記事では、アップライトピアノとグランドピアノのタッチにどんな違いがあるのか?について解説します。

ハンマー・アクションの違い

ハンマーは鍵盤を押すことで動作し、弦を叩いて奏者のエネルギーを伝えるものです。

ただ叩ければ良いというわけではなく、すぐに引っ込んで戻ることができればまた弦を叩く準備ができます。
この【ハンマーが戻るアクション】が速ければ速いほど、同じ弦を叩くリズムを速くすることができるというわけです。

ハンマー・アクションの違いは、水平に広がるのか垂直に広がるのかで変わってきます。
まず、アップライトピアノのハンマーは鍵盤に対して垂直についていて、弦を前から打ちます。 アップライトピアノ-ハンマーの動き
ハンマーが打弦した後は、スプリング=ばねの力を借りて元の位置まで戻ってきます。

奏者が鍵盤を「下」に押し下げるのに対してハンマーが動くのは「前」。

力を伝える方向が変わる分だけロスも生まれますし、打弦してから音が出るまでに微妙なタイムラグが生じてきます。
このようにハンマーが元に戻るまでの時間がかかるので、アップライトピアノが連続で打弦できるのは一秒間に7回です。

連打できる性能に限界があるので、トリルなどの素早い連打奏法に対応できず音が飛んでしまうことがあります。
音の強弱=ダイナミックレンジに関しても、奏者のエネルギーが直接伝わらないぶんだけグランドピアノよりも小さくなってしまいます。

いっぽうで、グランドピアノのハンマーは弦の下側から打ちつけるように設置されています。 グランドピアノ-ハンマーの動き
奏者が鍵盤を「下」に押し下げたエネルギーがテコの原理でハンマーに伝わり「上」に向かって弦を叩きます。

ハンマーは元に戻るときに重力の力を借りるので、指を離すだけでスムーズに引っ込んでくれます。
また、元の位置に戻り切らなくても次の音が叩けるレペティション機能がついていて、連打できるスピードは1秒間に約14回。

アップライトピアノが1秒間に7回であることと比べると、連打性能には倍の違いがあるといえます。
グランドピアノは力のロスが少なく、アップライトピアノの2~3倍もの打弦エネルギーをぶつけることが可能。

音の強弱=ダイナミックレンジはより大きなものとなり、レガートやフォルティッシモなど繊細な技術を磨くことが出来ます。

タッチの違い

ピアノのタッチについて

アップライトとグランドピアノのこうしたアクション機構の違いは、タッチの違いとして表れてきます。
ダイナミックレンジ・連打性能の違いから、アップライトピアノで弾くときはかなり筋力を使わないといけない…と感じる方もいるようです。

グランドピアノはテコの原理を応用したアクションなので、鍵盤の長さがあるピアノで演奏すると弾きやすいという特徴があります。

また、グランドピアノにしかない繊細な機能が【アフタータッチ】と呼ばれる感触です。

アフタータッチ

グランドピアノだけに備わっているのが、アフタータッチ。
アフタータッチは、グランドピアノの鍵盤を押し下げる途中に「カクン」と引っ掛かる感覚のことをいいます。

ハンマーが完全に元の位置に戻らなくても次の音が打てるという機能で、素早い連打や微弱音で余韻を残して演奏する時などに活躍します。

フランスのエラールによるレペティション機構(ダブルエスケープメント)の発明が現代グランドピアノの基礎となり、アフタータッチを可能にしています。

アフタータッチがあるという事は、それだけ演奏表現の幅がひろがるというということでもあります。
リストは自身の代表曲である『ラ・カンパネラ』はエラールのアクションでないと演奏できないと語ったほどです。

なお鍵盤アクションの違いについては、グランドギャラリーのyoutube動画:ピアノトークでも詳しく解説しています。
もっと詳しく知りたいという方はぜひご視聴ください。

まとめ

グランドピアノとアップライトピアノは、内部構造の違いから全く違った演奏感覚となります。
アップライトピアノで練習していると、グランドピアノよりも打弦が甘くなりがちとも言われています。

それはタッチの違い・打弦エネルギーがどのように伝わるのか、の違いでもあります。
もしアップライトピアノで練習するなら、表現力をつけるために体幹トレーニングや筋肉トレーニングも必要になるかもしれません。

グランドピアノの鍵盤はてこの原理を応用した軽いタッチ感で、アップライトピアノに比べると表現の幅もぐんと広がります。
アフタータッチなど、実際にピアノに触れてみて初めてその違いを実感できることもあります。

グランドギャラリーでは、グランドピアノもアップライトピアノも随時試弾を受け付け中です。
ぜひお気軽にグランドギャラリーまでお越しください。

>> アップライトピアノとグランドピアノの違い① 音の響き

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