コラム:(2)スタインウェイの設計
ピアノの設計は、何をおいてもピアノにとって第一の基本です。
「ピアノの設計なんて専門的なことなので、わからない」などと、諦めにならずにお読み下さい。
次の簡単な3つの項目について、調べてみましょう。
- そのピアノ(メーカー)は、ピアノ製造史上、技術の進歩に貢献したでしょうか?
- そのピアノ(メーカー)の開発技術は、国際的なものか、また特許を獲得しているでしょうか?
- 他のピアノメーカーが、そのピアノの設計や技術、特許を取り入れ使用しているでしょうか?
上記1について、ピアノ製造史上、どのメーカーよりも貢献度が高いのがスタインウェイです。
まず、現代のグランドピアノの形状で常識となっている高音側の側板(リム)が湾曲したあのスタイルは、スタインウェイが作ったものです。
弦を支えるパーツ(フレーム)の総鉄骨化や、鋼鉄弦と銅巻き線が二重に交差する弦の方式(オーバーストリングス)、弦のうち打弦されない部分を共鳴させるしくみ(デュープレックス・スケール)、ソステヌートペダル(グランドピアノの3本のうち中央のペダル)の採用、アクション(打弦機構)のレペティションダブルスプリングの採用など、現在では他のピアノメーカーが採用している数多くの技術を開発し、最初にピアノ製造へ実用化したメーカーです。
上記2については、上記1でご説明した通り、スタインウェイの開発技術は国際的にほとんどのピアノメーカーに応用されています。
またスタインウェイが取得した特許はこれまで120以上もあり、これほど多くピアノに関する特許を取得しているのは、スタインウェイの他にはありません。
上記3についても、スタインウェイの開発技術や特許はその特許期限が切れるたびに他メーカーのピアノに採用されてきました。
ですから、現在の数多くのグランドピアノは一見するとスタインウェイピアノとそっくりの形で作られていますが、設計技術や素材、製造技術の違いからタッチ感(弾き心地)や音響は全く異なるのです。
この記事の執筆者:グランドギャラリーピアノ研究チーム